◆JA全農長野と東洋ライスが連携強化
機能性を高めた長野米輸出に共同で取り組む
JA全農長野県本部(髙木幸一郎県本部長)と東洋ライス株式会社(雜賀慶二代表取締役)は8月29日、長野市のJA長野県ビルで合同記者会見を行い、機能性を高めた長野米の輸出に共同で取り組むと発表した。
東洋ライスは2014年年1月からコメの海外輸出を本格的に開始し、現在は米国・香港・台湾・シンガポール・フランス・豪州の6カ国・地域で、日系スーパーを中心に「金芽米」「金芽ロウカット玄米」を販売している。そうしたことから、農林水産省がまとめた『農林水産業の輸出強化戦略』の中でも、機能性成分を売りにした高付加価値商品の市場開拓の取り組み例として「金芽米」の事例が紹介されるなど、コメ輸出の戦略商品として期待されている。
金芽米の主力原料である長野県産米は、常に高品質で安全安心なコメとして、その商品価値を支えるとともに、原料の厳しい品位基準についても、JA全農長野が水分調整など、様々な面で協力してきた経緯がある。今回の取り組みは、こうした連携をさらに強化し、輸出にも発展させるもので、28年産米では約500万円の予算を組み、(1)海外輸出専用の長野県産米米袋の共同作製(2)海外現地での消費宣伝会の実施(3)海外向けPR用CMの共同制作…などを行うとしている。
東洋ライスの阪本哲生副社長は「長野県は自然環境が素晴らしく、コメづくりに適している。温暖化で全国的に品質が芳しくないときでも、安定的に高品質米を提供してもらえる。すでに10年来の取引があり、信頼関係も築かれている」と、長野県産米へのこだわりを強調しつつ、「金芽米と金芽ロウカット玄米の海外輸出は27年度実績で215トン(金芽米195トン、金芽ロウカット玄米20トン)で、このうち長野県産米は95トン(同75トン、同20トン)と半数近くを占める。30年度には500トン(他県産米含む)の金芽米、金芽ロウカット玄米等の輸出を目指す」との目標を掲げた。
また、全農長野の髙木幸一郎本部長は「コメの輸出についてはこれまで、流通コストの問題や、輸出先での安値競争・産地間競争に巻き込まれる懸念などもあり、調査・検討に留まっていたが、重点取引先である東洋ライス(株)が輸出の取り組みを開始したことから、連携できると判断した。金芽米など付加価値商品の輸出により、農業所得の向上と長野県産米のさらなる拡販を目指す。価格競争による輸出ではない」と、今回の連携強化の意義を強調した。
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